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第8回 蜂蜜エッセイ応募作品

蜂蜜と淡い恋心

真桜

 

 蜂蜜は、ほろ苦さとともに甘さを感じる初恋のような味がする。芸術大学で文芸を学んで早三年になる私は、来年の卒業制作にむけて恋愛小説を執筆しているので、このような発想にたどり着いた。もう二十一歳だけどキスをしたことのない私は今、蜂蜜の味がするキスをしたいという憧れを秘かに抱いているところだ。
 甘さで溢れている蜂蜜は疲労回復にも良さそうだ。甘いだけではなくて、疲労困憊の人間に効く栄養素が含まれていることは確かである。もし蜂蜜を恋愛小説に登場させるとしたら、まだ恋をしたこともない初心な女子高校生が年上の男性(端正なルックスなのだけど、実は不器用な性格の持ち主)と恋に落ちて、ファーストキスの場面が良いと思う。蜂蜜の味がするキスなんて想像がつくようで現実的ではないかもしれない。その非現実さが、過酷な現代を生きる私たちにとって救いになるのではないかと考えているところだ。
 こうして小説を書いていると、身近にあるものが人々の心を揺さぶるような大きな可能性を秘めているかのように思えてくるのだ。ここでは「蜂蜜の思い出」を書くことが求められているのは十分承知ではあるが、自分にしか書けないエッセイを綴りたい私は、視点を変えた蜂蜜にまつわる話を書きたい。

 逆に男性目線で恋愛小説を書くと、蜂蜜はどんな役割を果たすのだろうか。街中で美しい女性とすれ違ったとき蜂蜜のような香りがしたという恋の始まりも面白いし、蜂蜜という身近で何気なく溢れているものが読者を引き付けていくはずだ。蜂蜜は甘くておいしいだけではない。私にとって小説という憧れの世界では日々生きていく中でハッピーなことと出逢わせてくれる、衝動的な存在へと変化を遂げていく。

 ちなみに話は打って変るのだが、蜂蜜は口内炎に効くという知恵を聞いたことがある。最初聞いたときはひりひりとしみて、痛む傷口にそんなものを塗ってどうするのだと、正直呆れたのだが、時には良薬として傷をいやす蜂蜜はすばらしいものだと感じられる。こうした私と蜂蜜は遥か遠い存在のようで、実は愛すべきものだといっても過言ではない。普段、蜂蜜を食べる習慣はないけれど、執筆活動や知っていて損しない事柄に、蜂蜜が含まれていたのだ。

 今は学園を舞台に繰り広げられる高校生の初心な恋物語を書いているので、「そのために役立つもの」としてここまで蜂蜜を語ってきたが、今度は私自身が現実の世界でファーストキスをするチャンスが訪れたとき、「蜂蜜の味がした」と自慢してやりたいと思う。

 

(完)

 

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